
最近の母
二年ぶりに母の姉とご対面にこやかな笑顔を浮かべているが、残念ながら実の姉のことは覚えていなかった。二年前は涙のご対面だったのだけど。お姉さんの方は私の母が実の妹とは認識していたものの、二年前母の施設で会ったことは、すっかり忘れていて、何度も母が営んでいたタバコ屋のことを聞いてきた。帰りしな母に「あの人は誰だった?」と聞いてみたが、それが、誰か全然わからんかった」と困った顔をした。最近は私の妹、つまり末娘のこともわからないようだ。母がその相手を身内と認識しているかどうかは、話し方でわかる。身内以外の人、例えばスタッフさんとかには敬語を使う。実の姉にも私の妹にもそういうわけで、敬語を使う。考えようによっては、社会性は残っていると言えるかもしれない。きちんと、敬語を使い分けているのだから。先日は妹に私を指さして「あれが、私の娘です」と説明していた。「私もあなたの娘よ」と妹が言うと、困った顔をしていた。この話を卒業生のお父さんで、私が通う鍼灸院の先生でもある方に話すと、「私のところもそうです。私を私の兄と勘違いして話しますから、カチンときます」と笑いを交えながら話された。そちらは、実は次男であ...