塾のこと

詐欺の子

最近NHKで実話をもとにしたドラマが放送された。 オレオレ詐欺に加担した、少年たちの証言をもとに構成されていた。 所謂、受け子と呼ばれる役をやらされていた、いや、やっていた人間の中には、中学生の男の子もいた。 気楽にお小遣い稼ぎができることに魅力を感じたのか? そうではないようだった。考えてみると、オレオレ詐欺は一人ではできない。そこに、必ず仲間がいる。その子は、そういう仲間たちと一緒にいること、そのものが楽しくてしようがなかったと言う。 その子の家は、共稼ぎか、あるいは、母子家庭か、定かではないが、家に帰ると妹はテレビゲームに夢中。テーブルの上には母親からの置手紙。 「焼き肉ピラフあるから、食べてなさい」母親が働きに行く前に作ってくれているのか? いや、何のことはない。冷凍庫にぎっしりと詰まっているピラフを電子レンジでチンするだけだ。その子は、詐欺仲間たちと買ったスナック菓子や飲み物をワイワイガヤガヤ言いながら食べる方が楽しくてたまらない。さみしさを埋められるからか。 ただ、我が子を思いよろしくお願いしますと頭を下げる老母に対し、徐々に罪悪感を募らせていく。そして、自ら警察に捕まるべ...
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類は友を呼ぶ

「類は友を呼ぶ」 私の好きなTV番組に「あいつ、今何してる?」という番組がある。 有名人たちのかつての友人の今を追跡する番組だ。 そして、時折有名学校を卒業した人たち(芸能人ではなくあくまで素人さん)の現在が放送される回もある。 最近は福岡県下TOP高修猷館高校の卒業生の今を追跡していた。 修猷館と言えば偏差値70越え。福岡市では、福岡高校・筑紫丘高校と共に御三家と言われている。北九州を入れれば東筑。この高校はまさに文武両道。甲子園にも何度も出場しており、また、名優高倉健さんの母校としても知られている。ちなみに私の姪も東筑。 ここで、姪の話を出すにはまあ、理由があります。 さて、話を戻そう。 その修猷館で長年教鞭をとっておられる先生が、一人の学生の名をあげました。 天才だった。円周率は確か300桁まで覚えていましたと。 番組がその学生の現在を追跡した結果、アメリカ在住。NASA勤務だった。 ゲストたちは一様に「はあ!すげえ~」と感嘆の声をあげていた。 彼は幼い頃からとても数字に興味があったらしく、幼稚園の頃は、友達と、倍数をどこまで言えるか競走したという。 2・4・6……とずっと続けて...
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合唱コンといまどきの家庭環境

毎年11月は、中学校では合唱コンクールが開催される。 10年ほど前までは、生徒たちが一丸となり、朝練などを行い、その後は焼き肉店やカラオケで打ち上げというのが定番だった。 打ち上げの日が塾の日と重なるときは、私と生徒たちの攻防が始まる。結局私が折れてしまうのだが。 中3などは、まさに追い込みの時期ではあるが、みんなで頑張ったという達成感を打ち上げで味わいたい気持ちはわからないでもないから。 しかし、最近の生徒たちは違う。 とにかく醒めている。 前回のブログで書いた動物園状態のクラスでは殆どの人が練習に参加しないらしい。個人主義というよりエゴ、つまり身勝手さが蔓延している。 みんなと協力する気持ち、大切さなどが、段々わからなくなってきている。 自分さえよければ、他人はどうなってもいいという人間が多くなっている。 それは、家庭においても昔に比べ個人主義が目立ち始めていることに要因の一つがあるようだ。 一緒に食卓を囲まない。一家で何かをするわけでなく、個々が自分のやりたいことに没頭する。一昔前の一家団欒などがなく、家族間も希薄になっているようだ。 ただ、今は、共稼ぎの家庭が多い。十分な家計で...
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パワハラと動物園

最近パワハラのニュースが後を絶たない。 知り合いの塾の先生が、自分達も気をつけておかないと、いつ訴えられるかわからんよと、冗談交じりに言っていた。 よく、コメンテーターがこう言う。 「昔は良かったけれど、今、それをやったらアウトだ」と。 そのコメントはおかしくないかと、私はいつも思う。 昔だろうが今だろうがダメなものはダメ。それを踏まえたうえで最近の事例を考えてみる。 ここまで書くとさぞかしパワハラへの非難の意見のオンパレードと思う人もいるかもしれないけれど、その逆。 例えば、「俺に挨拶もなかった」と言われた。普通何かの団体に所属していて、そこの長たる人がいれば、まず一番に挨拶をするのは当然、すべきである。威圧的に言ったかどうかとか、人により方言やアクセントの違いもあるだろうから、いちいちあげつらう必要はないと、私は思う。 私は生徒に対しかなり強くものを言う。泣いた人も多数。でも、間違ったことは絶対言っていないし、優しい言葉で諭すように言っても一向に悔い改めないから強い口調になる。 そもそも、社会に出れば、色々な人間に出会う。 社会に出るまでは蝶よ花よと育てられ、周囲にも穏やかで優しい...
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道徳の教育化

道徳の教科化が始まるが、評価するのは難しくないだろうか。 広島長崎に原爆が投下された時の紙芝居を先生が見せてくれたと、小学生。 前列の人は、全員机に突っ伏して寝てたと言う。自分は必死で眠いのを我慢したと。 紙芝居を読む先生も、その親世代も戦争を知らない。 紙芝居を読むのも、カリキュラム通りのことだから、読んだまで。 感受性豊かな先生ならまだしも多分ただ、淡々と読んだのだと思う。子供の心に響くはずがない。紙芝居がどうのこうのではなく、眠らなかったすごいでしょうと、的外れなのだ。 そして、どちらも責めることは出来ない。 もう今はそういう辛いこと悲惨なこと悲しいことを聞いて相手の立場を思いやれる人の方が少ないのではないだろうか。 原爆は、こんなに悲惨だったのよと言っても、無駄。 私の父の兄は沖縄で戦死した。沖縄旅行の際平和の礎に行った。父は兄の名をそこに認めて涙が出たと言った。 だがどうだろう?今はただ、レクレーション感覚、ただの観光旅行でしか訪れない家庭が大半ではなかろうか。それでも、道徳の教育化が始まるとなると、たとえ、行かずともパンフレットかネットで資料を集め、戦争は絶対いけないと思い...
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欲望を伴わない勉強は記憶を損ない記憶を保存しない

「欲望を伴わない勉強は記憶を損ない記憶を保存しない」 この言葉はダーウィンの言葉です。けだし名言。 この時期には、新聞に夏期講習募集チラシが山のように入っています。連日。 どの塾よりも安価な設定。偏差値40の生徒が一気に60に。あるいは、30点のテストが期末では90点に等々。いずれも塾の成果を謳っています。 けれど、私は知っています。 どの塾より安価と謳っている塾生が転塾して言いました。夏期講習20万超えますからやめましたと。 「えっ、お安いと書いてあるじゃないの」 「基本は、です、あくまで。私は、これもこれもと補講を組み込まれてトータル20万超えです」 あら、まあと私。すごいからくり。 「成績が上がらないので」 「でも偏差値40が一気に60って書いてありましたよ」 「うちの子一学期の通知表。1と2しかありませんでした」 あら、まあとまたまた私。 他塾の悪口を言っているのではありません。なぜ、補講が増えるか。そうしないと、学力がつかないから。なぜ、1,2だらけか? 単に勉強不足。 よく、うちの塾の生徒の成績がどんどん上がっているからと、大手塾をやめ転塾してくる人がいます。私は、いつも言...
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拉致と決断

最近教材を買うために書店に行ったら、蓮池薫さんの著書「拉致と決断」に目が留まった。 著者紹介の欄を見ると今までに結構多くの著書がある。少しも知らなかった。 今回目に留まったのは、書店がみんなの目に留まるべく場所に山積みにしていたからである。 商魂たくましいと言おうか、今、まさに米朝会談が史上初で行われようとしており、いまだ救出されていない拉致被害者の存在が改めてクローズアップされたからに他ならない。 しかし、その、おかげで、過酷な北朝鮮での暮らしぶりが手に取るようにわかった。 どんな有識者が語るより実際拉致され、何十年も北で暮らした張本人の語る内容にかなうものはない。 少し、話はずれるが、北野武はせっかく大学に合格したのに、殆ど大学にもいかず、また、一人暮らししていたアパートの家賃も払わず、しばらくぐうたらな生活をしていた。 しかし、アパートを追い出されることもなく、大学も退学にはならなかった。 それは、貧しい生活の中、母親が必死で工面して学費も家賃も滞ることなく払い続けていたからである。 実は、蓮池薫さんも中央大学法学部に在籍中に拉致されたが、お父さんが学費をずっと払い続けていたこと...
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合格発表と確定申告と脳腫瘍

久しぶりの投稿になりました。 昨年度の中3は個人塾にしては大人数。とにかく忙しくて受験間際は大変でした。 ですから、一息ついてから更新するつもりにしていました。 けれど、実はもう一つ。キーボードで文字を打ち込むのが極端に難しくなり、一文字一文字打つのに時間もかかるし疲れる。だから尚更遠ざかってしまいました。そうこうするうちに、簡単な計算ができなくなる。漢字を思い出せない。頭痛がする。問題を解こうとすると頭がしめつけられ、電流が流れたかのように、ピリピリしびれる。 明らかに何かおかしいと感じ始めていました。 両親ともに認知症であることから、自分もそうなったのか、あるいは脳梗塞でもおきているのか、不安は募ります。 けれど、とにかく受験生を最後まできちんと指導すること、そして、公立高校の合格発表が終わるまでは、何としてでもの思いから、歯を食いしばって頑張りました。また、確定申告も書き上げねばと、電卓もうまく使えない中締め切り一日前までに仕上げました。 そして、合格発表の当日3月15日午前中まで待ち、全てが終わった段階で病院に行きました。 MRIを撮った結果は、脳腫瘍でした。大きさはピンポン玉...
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今年も悩み多き一年でした。

早いもので、もう、師走。受験生にとっては本番が差し迫っています。 昨年までは、何度も保護者と話し合いを重ね、本人の希望をかなえてあげたいという思いと、その子の資質を鑑みて高校選びをしてきました。 けれど、今年は、あまり私に相談されず、あるいは、相談されたとしても、そのあと、私の知らない間にいつの間にか志望校を変更されていたりなどされ、信頼関係が結べなかったことが、少々残念です。 急に変更された方の殆どが一般、つまり、公立希望から専願、つまり、私立のみの希望にされたことです。 しかも、ほぼ、部活がらみです。つまり、さほど受験勉強しなくても、合格できるわけです。私は、部活をすることを悪いといっているわけではありません。体力・精神力・団結力と、色々な力を身に着けることが出来ます。 けれど、変な、特権意識を持つ人が多くなることも事実です。 僕は私は部活で活躍している、上手いんだぞ、だから、勉強なんてやらなくてもいい。部活で高校に行けるからなどと、考えてしまったら、必ず先々で後悔することになります。高校は部活をしに行くわけではありません。将来に役立つ知識や教養を身に着けるために行くのです。 考え...
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お誕生日会

母が米寿の年を迎えました。 父より一つ長生きしました。 私の願いが叶いました。 父が天国から見守ってくれているのかもしれません。 母は感極まって涙、涙。 認知症でも感情はしっかり残っているという証拠です。 以前も話しましたが、最近よくテレビで芸能人たちの奮闘記が放送されます。 父が母が認知症になった、奈落の底に突き落とされた。しかし、最後まで介護することを決意した。バリアフリー化も自分自身の手でやるんだ!! 映像を見て、その番組の出演者は拍手喝采。 すごい、偉い、感心だと。 ずいぶん前に、ある大物俳優が父親を老人ホームに入れたことで、ものすごくバッシングを受けたことがあります。彼は、一言も記者たちに世間に対して口を開こうとしませんでした。テレビドラマでも老人ホームを姥捨て山のようなイメージで取り上げる脚本が以前は目立ちました。 けれど、24時間そばについてあげることが出来ないとき、たった一人ぼっちで自宅に置いておくよりも栄養管理・体調管理を毎日してくれて、こんなに母が喜ぶつような毎日を与えてあげることがほんとの親孝行ではないかなと私は思います。フラダンスの男性は施設長です。はにかみなが...