塾をはじめて、いつのまにやら、来年で35年になります。
最初は学研教室からのスタートでしたが、最低でも5年続けてくれと言われました。
今までの仕事、例えば幼稚園教諭2年、普通の会社勤めも2年。あとは、市役所や百貨店、喫茶店のアルバイトなどをちょこちょこっと軽い感じでこなしてきた私にとって、この、5年という期間はとてつもなく長いものに感じられました。それが、気づけば、なんとまあ、35年とは！
色々な生徒に出会いました。正直全員の顔や名前は思い出せないかもしれませんが、やはり、折に触れて、ふと、今頃、あの子はどうしているかしら？と思うことはあります。
塾ですから、基本は、成績向上、志望校合格がメインではありますが、うちの塾に来る生徒はプライベートな面でも色々あり、そちらの方がメインになることもしばしば。
お父さんが亡くなったり、離婚して転校を余儀なくされたり、本人と親が衝突して、家出したり。家出は一人、二人ではありませんでした。 また、リストカットしたり、不登校になったり。これも、複数人います。また、残念ながら、高校退学者もいます。
けれど、案外みんなきちんと？ 成長してくれていて、良きパパ・ママになっていることもあるので、人生は捨てたものじゃないなと思いもします。少子化の今、三人の子宝に恵まれた人もいます。遠方に住んでいるので、私の塾への通塾はままなりませんが、一度夏休みに来ました。もう、可愛くてしようがない。まさに孫に接するおばあちゃんと化した私です。
そんな中、ある日の夕刊に福岡出身のアイドル紹介の記事がありました。名前には覚えがありました。本名だと書いてあったので、うちの生徒？ かなと思いはしたものの、もし、その子なら私立中受験のために小学校までしか在籍していなかったので、大人になりお化粧している姿になかなか当時の面影を見出すことはできません。
思い切ってお母さまに連絡を取ると、やはり!! 塾生でした!!
聞けば、アイドルグループメンバーとして、既に5、6年前に上京して大活躍しているとのこと。
もう、いわゆるZ世代の芸能人はさっぱりわかりません。ネット検索してみたら、出るわ出るわ、その子の名前が。「可愛すぎる。名前も、もう、神!」みたいな感じで（笑）
今の子って、ちなみに結構「神」って使いますよね？ でも、いわゆる推し？ の人たちにとったら、神なわけでしょうね。
プライベートなこともありますから、敢えてグループ名も名前もここでは、出しませんが、彼女の塾での様子はどうだったかというと、勿論、真面目な生徒でした。けれど、滅茶苦茶成績が良かったわけではありません。
ただ、将来芸能活動、アイドルになりたいという夢はその頃から持っていて、ダンスやバレーなどのお稽古事をずっと続けていました。聞けば、何度も色々なオーデイションを受け、合挫折も味わったようですが、めげずに頑張り、合格を勝ち取ったようです。
今の殆どの子供たちは正直夢というものを持っていません。無理やり、夢を持つ必要も語る必要もないのですが、夢を語ったとして、では、それを実現すべく何かをやっているかといえばそうでもありません。ただ刹那的に生きて、これと言った、ガッツというか、ハングリー精神も見せず、ただただ流されている感が否めません。
そして、点数にばかりこだわります。これまた、こだわる割には、高得点をとるべく努力をするかと言えば、それもしません。年を追うごとにそういう生徒が増えていく気がします。
ですから、偶然に以前の塾生の活躍を知った時、尚更嬉しさを感じました。
ずっと努力を重ね夢を実現したのですから。
今の子供たちの風潮は、大人の責任でもあるかもしれません。私も含めて。
学校での指導の仕方も軍隊か？と感じさせられるようなこともしばしばあります。
がんじがらめにして、追い込んで、夢を持とうにも持てない世の中にしているのは、私たち大人の責任であるかもしれませんね。
何か、さあっと霧が晴れていくような、そんな爽やかな気分を生徒達には味わってほしい。
そうすると、自然と何かにチャレンジしてみようかなという気持ちが芽生え、色々な方面で活躍する優秀な人材が育つかもしれません。
プロゼミ 小川 文子
