塾のこと

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道徳の教育化

道徳の教科化が始まるが、評価するのは難しくないだろうか。 広島長崎に原爆が投下された時の紙芝居を先生が見せてくれたと、小学生。 前列の人は、全員机に突っ伏して寝てたと言う。自分は必死で眠いのを我慢したと。 紙芝居を読む先生も、その親世代も戦争を知らない。 紙芝居を読むのも、カリキュラム通りのことだから、読んだまで。 感受性豊かな先生ならまだしも多分ただ、淡々と読んだのだと思う。子供の心に響くはずがない。紙芝居がどうのこうのではなく、眠らなかったすごいでしょうと、的外れなのだ。 そして、どちらも責めることは出来ない。 もう今はそういう辛いこと悲惨なこと悲しいことを聞いて相手の立場を思いやれる人の方が少ないのではないだろうか。 原爆は、こんなに悲惨だったのよと言っても、無駄。 私の父の兄は沖縄で戦死した。沖縄旅行の際平和の礎に行った。父は兄の名をそこに認めて涙が出たと言った。 だがどうだろう?今はただ、レクレーション感覚、ただの観光旅行でしか訪れない家庭が大半ではなかろうか。それでも、道徳の教育化が始まるとなると、たとえ、行かずともパンフレットかネットで資料を集め、戦争は絶対いけないと思い...
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欲望を伴わない勉強は記憶を損ない記憶を保存しない

「欲望を伴わない勉強は記憶を損ない記憶を保存しない」 この言葉はダーウィンの言葉です。けだし名言。 この時期には、新聞に夏期講習募集チラシが山のように入っています。連日。 どの塾よりも安価な設定。偏差値40の生徒が一気に60に。あるいは、30点のテストが期末では90点に等々。いずれも塾の成果を謳っています。 けれど、私は知っています。 どの塾より安価と謳っている塾生が転塾して言いました。夏期講習20万超えますからやめましたと。 「えっ、お安いと書いてあるじゃないの」 「基本は、です、あくまで。私は、これもこれもと補講を組み込まれてトータル20万超えです」 あら、まあと私。すごいからくり。 「成績が上がらないので」 「でも偏差値40が一気に60って書いてありましたよ」 「うちの子一学期の通知表。1と2しかありませんでした」 あら、まあとまたまた私。 他塾の悪口を言っているのではありません。なぜ、補講が増えるか。そうしないと、学力がつかないから。なぜ、1,2だらけか? 単に勉強不足。 よく、うちの塾の生徒の成績がどんどん上がっているからと、大手塾をやめ転塾してくる人がいます。私は、いつも言...
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拉致と決断

最近教材を買うために書店に行ったら、蓮池薫さんの著書「拉致と決断」に目が留まった。 著者紹介の欄を見ると今までに結構多くの著書がある。少しも知らなかった。 今回目に留まったのは、書店がみんなの目に留まるべく場所に山積みにしていたからである。 商魂たくましいと言おうか、今、まさに米朝会談が史上初で行われようとしており、いまだ救出されていない拉致被害者の存在が改めてクローズアップされたからに他ならない。 しかし、その、おかげで、過酷な北朝鮮での暮らしぶりが手に取るようにわかった。 どんな有識者が語るより実際拉致され、何十年も北で暮らした張本人の語る内容にかなうものはない。 少し、話はずれるが、北野武はせっかく大学に合格したのに、殆ど大学にもいかず、また、一人暮らししていたアパートの家賃も払わず、しばらくぐうたらな生活をしていた。 しかし、アパートを追い出されることもなく、大学も退学にはならなかった。 それは、貧しい生活の中、母親が必死で工面して学費も家賃も滞ることなく払い続けていたからである。 実は、蓮池薫さんも中央大学法学部に在籍中に拉致されたが、お父さんが学費をずっと払い続けていたこと...
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合格発表と確定申告と脳腫瘍

久しぶりの投稿になりました。 昨年度の中3は個人塾にしては大人数。とにかく忙しくて受験間際は大変でした。 ですから、一息ついてから更新するつもりにしていました。 けれど、実はもう一つ。キーボードで文字を打ち込むのが極端に難しくなり、一文字一文字打つのに時間もかかるし疲れる。だから尚更遠ざかってしまいました。そうこうするうちに、簡単な計算ができなくなる。漢字を思い出せない。頭痛がする。問題を解こうとすると頭がしめつけられ、電流が流れたかのように、ピリピリしびれる。 明らかに何かおかしいと感じ始めていました。 両親ともに認知症であることから、自分もそうなったのか、あるいは脳梗塞でもおきているのか、不安は募ります。 けれど、とにかく受験生を最後まできちんと指導すること、そして、公立高校の合格発表が終わるまでは、何としてでもの思いから、歯を食いしばって頑張りました。また、確定申告も書き上げねばと、電卓もうまく使えない中締め切り一日前までに仕上げました。 そして、合格発表の当日3月15日午前中まで待ち、全てが終わった段階で病院に行きました。 MRIを撮った結果は、脳腫瘍でした。大きさはピンポン玉...
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今年も悩み多き一年でした。

早いもので、もう、師走。受験生にとっては本番が差し迫っています。 昨年までは、何度も保護者と話し合いを重ね、本人の希望をかなえてあげたいという思いと、その子の資質を鑑みて高校選びをしてきました。 けれど、今年は、あまり私に相談されず、あるいは、相談されたとしても、そのあと、私の知らない間にいつの間にか志望校を変更されていたりなどされ、信頼関係が結べなかったことが、少々残念です。 急に変更された方の殆どが一般、つまり、公立希望から専願、つまり、私立のみの希望にされたことです。 しかも、ほぼ、部活がらみです。つまり、さほど受験勉強しなくても、合格できるわけです。私は、部活をすることを悪いといっているわけではありません。体力・精神力・団結力と、色々な力を身に着けることが出来ます。 けれど、変な、特権意識を持つ人が多くなることも事実です。 僕は私は部活で活躍している、上手いんだぞ、だから、勉強なんてやらなくてもいい。部活で高校に行けるからなどと、考えてしまったら、必ず先々で後悔することになります。高校は部活をしに行くわけではありません。将来に役立つ知識や教養を身に着けるために行くのです。 考え...
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お誕生日会

母が米寿の年を迎えました。 父より一つ長生きしました。 私の願いが叶いました。 父が天国から見守ってくれているのかもしれません。 母は感極まって涙、涙。 認知症でも感情はしっかり残っているという証拠です。 以前も話しましたが、最近よくテレビで芸能人たちの奮闘記が放送されます。 父が母が認知症になった、奈落の底に突き落とされた。しかし、最後まで介護することを決意した。バリアフリー化も自分自身の手でやるんだ!! 映像を見て、その番組の出演者は拍手喝采。 すごい、偉い、感心だと。 ずいぶん前に、ある大物俳優が父親を老人ホームに入れたことで、ものすごくバッシングを受けたことがあります。彼は、一言も記者たちに世間に対して口を開こうとしませんでした。テレビドラマでも老人ホームを姥捨て山のようなイメージで取り上げる脚本が以前は目立ちました。 けれど、24時間そばについてあげることが出来ないとき、たった一人ぼっちで自宅に置いておくよりも栄養管理・体調管理を毎日してくれて、こんなに母が喜ぶつような毎日を与えてあげることがほんとの親孝行ではないかなと私は思います。フラダンスの男性は施設長です。はにかみなが...
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できる人

できる人、できない人 最近になって、ようやくわかってきたことがる。 本来ならもっと前にわかるべきだったのだけど。 成績のいい人は興味関心があらゆる分野において、ある。 例えば、カオスという言葉。正直私は意味が分からなかった。 当然すぐ調べた。この、わからない? なんだろう? どういう意味だろう? と、考えだしたら、気になって仕方がない。だから調べる。意味は、「混とんとした。」 ああ、納得。 では、もし、これを成績下位の子に聞いたとしよう。すると、きっと、わかりませんで、終わりになると思う。だから、調べなさいと指示するとしよう。 調べました。混とんという意味です、と、言うだろう。 だがしかし、私は思う。 では、そもそも、混とんと言う言葉の意味を分かっているのだろうかと。 多分、知らないはずだ。そして、きっと、知らなくても構わないのだと思う。気にも留めないのだと思う。 生徒の父親が今単身赴任で和歌山にいる。彼は、そういうわけで、和歌山のことに詳しい。地理や歴史において。 その時彼の友人たちは、何を考えるだろうか? 成績の良い子は、彼の話す和歌山のことに自然に耳を傾ける。下位の子は、我関せず...
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絶対評価と相対評価

数年前からエアコンが入ったからと言う口実で、二学期が一週間前倒しで始まることになりました。誰でもわかるゆとり学習による弊害を取り戻すべく文科省は必死です。 もともと、ゆとり教育にしたことがおかしい。学力は当然下がるのは目に見えている。 また、人と比べるのではなく自分と比べる絶対評価が導入されて、通知表もおかしい結果が生まれてきています。 中3にとって二学期の通知表は、とても大事。内申に影響を及ぼすからです。 一学期低かった人は躍起になっていい点数を採るべく画策中。 40点ほどの点数で体育4、80点で同じく4、70点で5、無茶苦茶です。要するに点数ではなく学習態度、あるいは、本人の頑張りが去年より見て取れたから? そんなもの、演技で何とでもなります。 だから、私も演技指導に熱が入ります(笑) 帽子は目深に被らない。また、浅すぎてもダメ。整列するときは、だらだらせず駆け足。 廊下ですれ違う時は、挨拶をかかさず、にっこり笑う。 いやだ、いやだと思いながらも教え込まねばなりません。 先生に嫌われたらお終いです。 通知表で仕返しされるからです。 ある、公立高校の教頭先生が以前おっしゃったことがあ...
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東大生

最近現役の東大生とクイズで対決するTV番組が始まった。 塾が休みの日に観ると、東大だからどうのこうのではなく一定の知識やひらめきが備わっていれば誰にでも解ける問題が多数あった。 例えば、憲法第25条……そこまでアナウンサーが問題を読み上げたところで、東大生がボタンを押した。その段階で私も答えはすぐにわかった。 憲法25条生存権についての条文だ。国民には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」である。 すると、聴衆やゲストが驚く。なんで、そんなこと知っているんだと。 おいおい、何を言っているのと私は思う。義務教育中3公民で習ったでしょう。しかも、まじ、ここ点取り問題、絶対テストに出るところ。定期考査前には必ず暗記させる。 つまり、東大生でなくても多分小6でも中3でもわかる。 しかしながら、人間というものは、のど元過ぎれば熱さ忘れるという慣用句があるように、その瞬間瞬間では、しっかり学べていたものが大人になれば必要なくなるのですっかり忘れてしまうのだ。 東大生あるいは、挑戦者たちが一般人と違うのはまさに温故知新。新しいこともどんどん吸収し、反面決して今までに得た知識をちゃらにしないこと。...
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置かれた場所に咲く

『置かれた場所に咲く』 これは、ノートルダム清心女子大学渡辺和子先生の遺された言葉です。 つい最近これを実感したことがありました。 今年も3月に生徒は巣立ち、晴れて全員希望した高校に通うこととなりました。 毎年卒業生は1学期の間は頻繁に訪れ近況報告。 そのうち、段々と足は遠のき顔を見せなくなります。そして、また高3の夏くらいから今度は大学受験の勉強のために塾を自習室代わりに貸してくれと律儀にいくらかの室料を払いやって来るようになります。 今年も同じパターン。高校は1学期から中間テストも実施されるので、新1年も多く自主勉に来ました。みんな高校は別なのでさながら同窓会のようです。彼らが中3の時も卒業生は土、日も自主勉に来ていて、今来るべきはあなたたちでしょう!! と私から言われていた彼らが、やはり高校になると、こうしてやってくる。家では集中できない。また、まだ、塾に行くには早いなどの理由もあり、古巣に帰ってくるのであります。 テストが終わると、また、ぱったり来なくなります。 私としては成績が気になります。 そんなある日、一人のお母さまからメールが。写真が添付。 開くと、お子さんの成績表が、...