『置かれた場所に咲く』
これは、ノートルダム清心女子大学渡辺和子先生の遺された言葉です。
つい最近これを実感したことがありました。
今年も3月に生徒は巣立ち、晴れて全員希望した高校に通うこととなりました。
毎年卒業生は1学期の間は頻繁に訪れ近況報告。
そのうち、段々と足は遠のき顔を見せなくなります。そして、また高3の夏くらいから今度は大学受験の勉強のために塾を自習室代わりに貸してくれと律儀にいくらかの室料を払いやって来るようになります。
今年も同じパターン。高校は1学期から中間テストも実施されるので、新1年も多く自主勉に来ました。みんな高校は別なのでさながら同窓会のようです。彼らが中3の時も卒業生は土、日も自主勉に来ていて、今来るべきはあなたたちでしょう!! と私から言われていた彼らが、やはり高校になると、こうしてやってくる。家では集中できない。また、まだ、塾に行くには早いなどの理由もあり、古巣に帰ってくるのであります。
テストが終わると、また、ぱったり来なくなります。
私としては成績が気になります。
そんなある日、一人のお母さまからメールが。写真が添付。
開くと、お子さんの成績表が、そこには、ありました。
彼は正直偏差値が高い高校に行ったのではありません。しかも、その高校ですらたぶん難しい、受験をあきらめるよう説得されていました。
中学というのは頭がいい子もいれば悪い子もいる。偏差値が70近い高校を希望する子もいれば40以下の高校を希望する子、あるいは、それでも、もっと落とさないとどこの高校にも合格できない子もいます。
ですから、この生徒も度数分布表で成績は表示されていますが、最後から数えたほうが早いくらいの成績でした。
しかも、お母さまは見たことはないんですよとおっしゃる。一応保護者に見せた証拠(?)として、認め印必須及び一筆書かねばいけない学校もあります。だいたい印鑑のありかは子供はわかっているのでしょう。しかも、認め印なら宅配便が来た時のサイン用に誰でも目につくところに置いてあったのかもしれません。
いずれにしても三者面談などから、お母さまも否が応でも子供の成績が悪いことは思い知らされることになります。しかしながら、彼の偉かったところは、きちんと自分の身の丈にあった、そして、自分の好きな学科をはっきり主張したことです。
もう、こうなったら、やるしかありません。担任に無理、高校側からも首を傾げられても、彼の思いを叶えるべく必死で指導。彼も同じく必死で食らいついてきました。
そして、見事合格。しかも、はるかに予想を超えたいい点数でした。
中3の時の頑張りが実を結んだのでしょう。
社会などは91。クラスで8位。コース110名中35位という、見事な成績でした。
かつて成績表を親に見せたことのない彼。見せられたことのない親御さん。
そ、そ、それなのに!! こうやって、メールで送ってくれることになろうとは思いもよりませんでした。だって、最初はそこにも受からないって言われていたんですよ。
まさに努力に勝る天才なし。
そして、そして、置かれた場所で見事に咲いたのです
背伸びをせず、自分の身の丈の高校を選んだことで自信を持つことが出来た彼。
しかしながら、油断禁物。これにおごることなく、これからも日々精進であります。
頑張ってくださいね。
プロゼミ 小川