塾を始めて27年。その間に保護者の考え方も子供の勉強に対する姿勢もずいぶん様変わりしてきたように感じます。
よく、学級崩壊の話を聞きます。担任は決して新人の先生ではありません。ベテランの先生です。にもかかわらずクラスをまとめることができなくなり、うつ病を患い休職退職を余儀なくされた先生も多いと聞きます。
塾を始めたころは、最初生徒さんをお預かりする時「先生、うちの子がいう事を聞かなかったら殴るなり蹴るなりしていただいて構いません」とおっしゃるお母さんが大半を占めていました。
そのころのお母さん世代はほぼ私と同年代でした。つまり、私たちが小中学校の頃体罰という言葉すら聞いたことがなかったような時代です。
悪いことをして口で叱ってもわからないのなら手が出る。そこに感情をむき出しにして怒りにまかせて体罰をふるう先生など皆無だったと、思います。
私が今でも印象に強く残っているのは、高校生の時、クラスの半数以上の男子が平日朝からボーリングに興じ大幅に遅刻して登校した時のこと。
運悪く?よその担任の先生にぞろぞろボーリング場に入っていく姿を目撃されていました。そして、全員の名前を(女子高が前身だったので、400名中70名くらいの男子)担任に告げました。それを聞いた担任の怒りはきっと相当なものだったろうと思います。
担任はその名前を読み上げ前に出て来いと言われました。そして、出席簿で全員の頬をびんたされました。表情は冷静そのものでした。
いいですか?ただ、前に出ろ。そして叩く。その間一言も言葉を発していません。
だって、言わずもがなだから。そして、叩かれた男子も一言も口を開きませんでした。
息をのみながらその光景をみていた私たちも黙ったままでした。
そのあと何事もなく数学の授業が行われその一連の行動に対して誰も非難めいたことは一切言いませんでした。叩かれた男子も保護者には言わなかったと思うし、よしんば言ったとしても、学校に怒鳴り込む保護者などいやしません。
我が子が悪いんです。なぜ、体罰だ!と、騒ぎ立てる必要があるでしょうか?
ところが徐々に世の中の情勢が変わってきました。子供にも人権があるから尊重しよう。体罰などもってのほか。となると、子供がだんだん大人をなめてきます。俺たちが騒いでも手も足も出ないだろう。殴ってみろ、教育委員会に訴えるぞ!と。
そういうわけで、ベテランの先生も今の子供たちにどう接していいかわからず、昔の常識が通用せず、結局追い込まれ心を病むのでしょう。
数年前、ある高校で一人の女子生徒が亡くなりました。過失ではありますが教師が命を奪いました。確か授業中によその生徒が別のクラスの友達に会いに来て先生が自分の教室に戻れと注意しても聞かず、教室から引っ張り出した際に壁に頭をぶつけたとか、言う内容だったと思います。マスコミでも大きく取り上げられました。そして、その先生のことをほとんどのコメンテーターが非難する中、一人の大学教授が「もちろん、命を奪ってしまったのは良くないですが、僕たちの時代には、授業中に席を立って別のクラスに行くなんて考えられません。」と言いました。
私も本当にその辺のところがわからないんです。塾をしていても、私何か間違ったこと言ったかな?と首を傾げることは多いです。
定期考査前、特に受験生の定期考査前は遊ばないで勉強しようね。と言っていても、外で遊びまわっている姿を先輩に見られ私が知るところとなった、中3の生徒。どうしたのかな?友達に誘われたのかな?済んだことは仕方ないからその分頑張って取り戻そうねとメールしたら、じゃあ、塾やめますとなる。なんでそうなるの?
私は、わかりました、先生。サボった分取り返しますね!という返事を期待していたのですが。
知り合いの高校の先生に私、間違っていましたかね?と聞きくと、いや、そんなことはないよと言ってくださいましたが、考えたら、その先生も同じ世代。もしかしたら、若い世代に聞けば、違った意見だったかも。
スマホ・ライン・ゲーム・インターネット・飽食・ファストフード・少子高齢化。
さまざまな要因が考えられるでしょうが、やはりこの世の中があまりにもすべてのことにおいて満たされすぎていて、我慢・辛抱する力が無くなってしまったのでしょうか?
私は生徒から疎まれようが、プロゼミに縁あって来てくれた子供たちだけでも、せいいっぱい人生を進んでいけるよう、強い力、そして、人に対する思いやりの気持ちが持てるよう、指導していきたい。
成績向上より、人間向上を願うから。
下の写真は上記の記事とはなんら関係ありません(笑)プロゼミの可愛い生徒たちです。