できる人、できない人
最近になって、ようやくわかってきたことがる。
本来ならもっと前にわかるべきだったのだけど。
成績のいい人は興味関心があらゆる分野において、ある。
例えば、カオスという言葉。正直私は意味が分からなかった。
当然すぐ調べた。この、わからない? なんだろう? どういう意味だろう? と、考えだしたら、気になって仕方がない。だから調べる。意味は、「混とんとした。」
ああ、納得。
では、もし、これを成績下位の子に聞いたとしよう。すると、きっと、わかりませんで、終わりになると思う。だから、調べなさいと指示するとしよう。
調べました。混とんという意味です、と、言うだろう。
だがしかし、私は思う。
では、そもそも、混とんと言う言葉の意味を分かっているのだろうかと。
多分、知らないはずだ。そして、きっと、知らなくても構わないのだと思う。気にも留めないのだと思う。
生徒の父親が今単身赴任で和歌山にいる。彼は、そういうわけで、和歌山のことに詳しい。地理や歴史において。
その時彼の友人たちは、何を考えるだろうか?
成績の良い子は、彼の話す和歌山のことに自然に耳を傾ける。下位の子は、我関せず。しばらく、授業を進め、和歌山の問題を友人たちに振ってみる。
下位の子は、口をぽかんと開けたまま、答えられない。上位の子は、もちろん、答えられるが、答えられずに口を開けた友達自体にぽかんとする。
なんで、わからないんだと。
俺たちの友達のお父さんが住んでいる町。さっき、みかんがとれるとか、白浜海岸とか、徳川の御紋が形どられた柱があるとか、言っていたではないかと。
私は、中3の生徒には、たくさんのプレゼントを入会時にあげる。
特に英語のガイドブックは素晴らしいと私は思っているので、必ずあげる。
英文が読めない子のためにカタカナがふってある。それも、I have aなら、アイハヴァと会話の時のような読み方にしてくれている。
また、大切な文法。連語などが詳細に書いてある。
もし、私が貰ったら、とてもうれしい。よかった、これで、予習復習できる。助かった。頑張ろう!! と、思う。もう、これがあれば、百人力。よ~し、定期テストでいい点とるぞ!! と、もう、テンションMAX。
けれど、下位の子は、聞けば何も利用していない。学校の宿題で単語調べの時などに、ちょちょいと丸写しはやっているようだ。もちろん、そのあと、覚える作業はやっていない。
指導時間を次に考えてみる。
上位の子に1分教えたとしよう。
下位の子は10倍の10分でもわからないから、何回も何時間も教える。だから、上位の子ばかり指導して、下位の子はほっているんだろうと思われたら心外。
その、逆だから。
問題は、やる気スイッチ。
手変え品替えどうにかやる気を引き出そうと試みるが、なかなか、うまくいかない。
永遠の課題だろうなと思う。
それと、正直本当にどうしてもわからない、できない人もいるのかもしれない。
見極めが難しい。
いわゆるグレーゾーンだ。
昔はそれも個性の一つと、とらえられていたと思う。
あの人は勉強はからっきしだけど、足は速いよねとか、歌は下手だけど絵はうまいよねとか、そこで、話は終わっていた。
しかし、最近は、あらゆるものに病名をつけたがる。
そう、診断されたら、ある意味本人も私も楽なのかもしれない。それで、一括りできる。そっか、だから、いくら教えてもわからないんだ。 そうか、だから、僕は勉強ができないんだ、よかった、ほっとした、だって、病気だからと思うんだろうか。
開き直るんだろうか?
それでは、逃げにならないか?
突き詰めていくと、そこもわからなくなる。
けれど、いずれにしても間違いなく言えることは、その子が、人として、周りへの気配り、優しさ、思いやり。可愛らしいものを愛でる心。お年寄りを大切にすること、敬うこと。等々をきちんと備えていること。それが、何よりも一番大事だということ。
そして、そういう人間性を養うのは、まぎれもなく家庭であることを今一度保護者の方には訴えたい。
親の前より私の前でリラックスしている生徒たちが中にはいる。不憫になる。
でも、私の愛情より親の方が上であると信じたい。
プロゼミ 小川