生前退位

塾のこと

160819天皇陛下の生前退位に対するお考えをお聞きして、とても感銘を受けたのと同時に、私自身恥ずかしい思いを感じました。
それは、陛下が全身全霊をかけ、国民と接しておられるとのお言葉。

私は、果たして、この仕事に携わっていて生徒たちに全身全霊をかけ接しているだろうか?
28年前塾を始めたような時の思いが、果たして今でも残っているだろうか?
塾を始める前にはほかの仕事をしていたので、自分自身の学力は、かなり落ちていました。
中学校の勉強になると、それが顕著でした。
毎晩のように私自身が勉強しないと、勘は取り戻せませんでした。
また、私立高校も今のように誰でも入れることもなくある程度の偏差値確保を目指し必死で指導したものです。

しかし、昨今は少子高齢化に伴い私立も青色吐息。生徒集めに躍起です。昔なら不合格間違いなしの点数でもすっと入れるようになりました。
そうなると、こちらもそこまで必死になりません。どこかには入るだろうなんて軽い気持ちになりがちです。また、小学生の指導にあたっても、マンネリ化しているのも否めません。
そんな時ご高齢にもかかわらず激務続きの陛下の、このお言葉。
しかも、生前退位は、自分自身のためではなく国民のため、皇族のため、家族のためなのです。
まさに象徴にふさわしい方です。

今年の猛暑を言い訳にするつもりではありませんが、士気のあがらない生徒たちに指導するのは、ほとほと疲れるなどと思っていましたが、待てよ? なぜ、士気が上がらない?
ちっとも伸びない生徒に対し、私は最初からあきらめムードで接していないか?
よく、TVドラマで、俺なんか生まれてこなければよかったんだ!!なんていうっセリフ聞いたことありましたが、目の前で一人の生徒が何回教えても解けない数学の問題を前にして顔を覆って、その言葉を発した時、どきりとしました。28年間塾をやっていて初めて聞きました。
そんなことを絶対言ったらだめ!!と強く諭しましたが、よほど、できない自分がつらかったのだろうと、思いました。
そこで、翌日その生徒に先生の机の横の席においでって言ったら、最初はいやだといったのですが、私が結構一生懸命指導し始めたら、通じるものがあったのか、もう一度座ってと言ったら、素直に席につきました。 私に見捨てられていないと感じたのかもしれません。
私は涙が出そうになりました。
塾をしていれば、正直学力の高いお子さんに目をかけてしまうことが多々あります。
けれど、その裏で自分なんて生まれてこなければよかったなどと言わしめてしまうことを私はしていたのかもしれません。

本当に今回の陛下のお言葉から色々学ぶものがあったのは、もしかすると、私だけではないかもしれませんね。
生前退位のビデオメッセージをちょうど、夏期講習の最中だったので、生徒も一緒に見ました。
お盆間近、終戦記念日間近、そして、ちょうど第二次世界大戦のところを歴史で学んでいるタイミングでのメッセージ。
終戦の日ラジオの前にひれ伏して天皇のお言葉を国民が聞いた時から時は移ろい、主権も国民となり天皇は象徴というお立場になられての初のメッセージ。
思いのほか神妙に生徒たちも耳を傾けていたことにも、軽い驚き感動を覚えた私でした。
21世紀を担うであろう生徒たち。
大切に全身全霊を傾けて指導する義務が私にはあるのだと、再認識した日でもありました。

プログレスゼミナール  小川

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