合唱コンといまどきの家庭環境

塾のこと

毎年11月は、中学校では合唱コンクールが開催される。
10年ほど前までは、生徒たちが一丸となり、朝練などを行い、その後は焼き肉店やカラオケで打ち上げというのが定番だった。
打ち上げの日が塾の日と重なるときは、私と生徒たちの攻防が始まる。結局私が折れてしまうのだが。
中3などは、まさに追い込みの時期ではあるが、みんなで頑張ったという達成感を打ち上げで味わいたい気持ちはわからないでもないから。
しかし、最近の生徒たちは違う。
とにかく醒めている。
前回のブログで書いた動物園状態のクラスでは殆どの人が練習に参加しないらしい。個人主義というよりエゴ、つまり身勝手さが蔓延している。
みんなと協力する気持ち、大切さなどが、段々わからなくなってきている。
自分さえよければ、他人はどうなってもいいという人間が多くなっている。

それは、家庭においても昔に比べ個人主義が目立ち始めていることに要因の一つがあるようだ。
一緒に食卓を囲まない。一家で何かをするわけでなく、個々が自分のやりたいことに没頭する。一昔前の一家団欒などがなく、家族間も希薄になっているようだ。
ただ、今は、共稼ぎの家庭が多い。十分な家計であるのに、母親が働いているという家庭はごく少数だろう。やはり、生活のために夫婦とも働かなくてはいけない家庭が大半を占めていると思う。
また、子供が中学になり部活にでも入ろうものなら、休日も一緒には過ごせないことが多くなる。平日でも自宅に帰りつくのは7時過ぎることもある。そして塾に行けば、持ちたくても親子の会話、一家団欒も必然的に無理。だから、仕方なく個人で行動しなければならないことも否めない。とにかく、世知辛い世の中だ。
また、以前では考えられないことだが、中3の社会公民で、日本の年中行事を習う。
なにゆえ、学校で習うのか?
つまり、お正月だから、ひな祭りだから、端午の節句だから、だから、何かするの?
それがどうした?という感じなので、子供たちが何も家庭で学ばなくなってきているようなのだ。
ある生徒は、おぞうに? 何、それ? 象を食べると?と、まじめな顔で尋ねてきた。
その親御さんは、私お雑煮きらいですからとおっしゃった。それは、それで構わないと思う。けれど、そのこととは別に日本古来の伝統文化は伝えていかねばならないのではないだろうか?
だからこそ、国もわざわざ義務教育の中で教えようと躍起になっているのだ。
今は、本来の意味もわからないままに、ハロウィーンなどでバカ騒ぎする若者が増えている。ゴミも散らかしっぱなし。人や物に危害を与える。当然のモラル、ルールがなぜここまで守られないのか? きっと、幼いころから、人に迷惑をかけないことや、公衆道徳は守らなければならないことなどを、家庭でしつけてもらっていないのだろう。情けない限りである。
また、西洋文化の方が地位が上だという誤解もあるのではないか?
しかし、海外に留学すると、まず日本の文化について、海外の人はたくさん聞いてくるらしい。中には、日本人より日本の文化や歴史に詳しく、当の日本人がしどろもどろになって、返答に困ることもあるとか。
我々の世代が考える一般常識が、ことごとく最近は覆されるので、こちらも変わらなければいけないのかとも思う。だが、決して迎合してはいけない。
人として何が大切かの中身が時代で変わるはずはない。
古臭いと言われても、ウザがられても、人の道は説いていかねばならないと思う次第である。

プロゼミ 小川

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