塾のこと、介護のこと。

プログレスゼミナール

心に残っている男の子のこと。

 


160622今は、もう30歳近くになっているA君。
小3まで、プロゼミにいました。
育ちが良く可愛らしい男の子でした。
私の両親はそのころ、たばこやさんをしていました。そして、子供相手に駄菓子屋も一緒にやっていました。
子供は駄菓子大好き。100円玉一つあれば、たくさんの駄菓子が手に入ります。
私も一か月頑張った生徒たちのために「小川たばこ店専用お菓子券」なるものを月末にはプレゼントしていました。塾に来るのが目的なのか、駄菓子を買うのが楽しみでやってくるのかと言えば、明らかに後者でしょう。(笑)
そのころは、まだ、バブルが崩壊する前、たくさんの小学生がいました。となると、正直やんちゃな子、意地悪な子なども中には出てきます。
ある日のこと、一人の生徒が私の父の悪口を言いました。
認知症には、まだなっていませんでしたが、耳が遠い父は、生徒の早口にはついていけず、とんちんかんな返事をすることもあったし、呂律もあまりまわらず、何と言っているか、聞き取りにくいこともありました。それをおもしろおかしく茶化す生徒、たぶん私の父とは知らなかったと思います。
すると、A君が、「下にいるのは、先生のおとうさんじぇ!! 先生を傷つけるようなこと言うのはよせ!!」と言ったのです。
まだ、小3ですよ。びっくりしました。そして嬉しかった。

彼は、その後私立中受験のために塾を進学塾に移りました。その時も俺は、やめたくない、でも、仕方がないと、唇をかみしめていました。

それから、何年かして、お母さまからお電話をもらいました。結局公立に行ったんですよと。理由を聞くと、彼は、歯を食いしばって塾通い頑張っていたけれど、どんどん表情が暗くなっていった。そして、野球のユニホームを着て野球の練習に向かうため自転車をぎゅんぎゅん漕いでいる友達とすれ違う時に何とも言えぬ恨めしげな顔で見送ると。
このままでは、この子はおかしくなってしまうと思い、お母さまは塾を辞めさせる決断をされたということでした。
素晴らしいお母さまです。せっかくだから一応受験はしたらしいのですが、まあ、思い出受験という結果に終わったそうです。わざわざご連絡ありがとうございますということで、また、しばらく彼とは疎遠になりました。

けれど、おもしろい偶然はあるものですね。彼は公立中に進学して、いずれにしろ、高校受験はあるわけですから、家庭教師について勉強していました。そして、ひょんなことから、その家庭教師が実は当時私の塾の講師をしていた人と同一人物だということが分かりました。なんとまあ!! 本当に世間は広いようで狭い。
彼は久しぶりに私の塾を訪ね体験学習ということで昔の仲間と一緒に授業を受けました。

その後、お父様の仕事の都合で東京に行き、大学は学習院にいきました。政界や経済界にも名前を出せば誰もが知っている人たちと親戚筋。やっぱり、お坊ちゃまの行く学校は違いますわね(笑) 
そして、なぜ、大学名を知っているかと言うと、法事やなんかで里帰りしたら必ず寄ってくれたからです。たった3年の在籍だったにもかかわらず!!

思うに彼にとっては下町に位置するこの塾で、山の手では経験出来ないことをたくさん経験し、それがとても印象に残っているからではないでしょうか?
駄菓子もそう。私から、無茶苦茶叱られたこともそう。
そして、父のした、ある行動を、友人と固唾を飲んで見つめたこと。それを、彼は大学生になってからも、「覚えとうよ。あれは、グロかった。」と言っていました。

当時、父は木から落ちた野生の幼鳥を保護しました。そして、しばらく餌も食べさせていました。父は田舎育ちなので、そういう経験が多かったのか、慣れたもので、近くの公園に行ってはセミを生け捕りにして、生きたままのセミ、みんみん鳴いているそのセミを、お構いなしにナイフで切って鳥に食べさせていました。生餌しか食べないんですよね?
まさに父は餌をとってきた親鳥さながらでした。それを、彼たちにも見せていました。
彼らは正座していました。ぎゅっと握ったこぶしを両ひざの上にのせて・・・
一言も言葉は発していませんでした。身をもって自然の摂理、生きるということを学んだのではないでしょうか?
○○高校に何名合格!!偏差値○○UP!! ○○高校の半数以上が我が塾の卒業生!! などなど、大きくチラシでうたっている大手塾も多いですが、それがどうした!?という気持ちに負け惜しみでもなんでもなく思います。
ある私立高校の先生とお話ししていたら、○○さんは、自分から嫌なことを買って出てくれる、○○さんはせんせーい、だあい好きと言って抱きついてくれるなどにこにこしながら、教えてくださいました。私の知り合いの塾の先生が、うちの○○はどうですか?と聞かれても、名前も覚えていらっしゃいませんでした。その生徒は先出のプロゼミの生徒と同じクラスの生徒で、英検も2級合格、成績もTOPクラスらしいのに、です。
彼女たちは決して成績は、よくありません。でも、その高校に入った生徒たちが勉強オンリーではなく、生徒会活動を率先してやったり、バレンタインには手作りチョコを先生に渡してみたり、人として一番大切な気配りなどを身に着けているからです。
私は、そういう子供たちを誇りに思います。

最近の生徒たちも、もちろんかわいいのですが、その辺のところは、まだまだな気がします。
けむたがられてもいいので、これまでに携わった生徒たちの心温まるエピソードなどを今の塾生にも話していこうと思います。
そこで、何かしら一つでも感じ取ってくれたらいいなあと思います。

 

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