姪の涙
父が亡くなって5年になる。 両親ともに認知症。仕事を持ちながら私一人での在宅介護はやはり大変だった。 机上の空論という言葉がある。 たとえ、介護のいろはを学んだとしても実践に移さねば、ほんとのことはわからないし、ケースバイケース。マニュアル通りに行ったらそんな楽なことはない。 よく、保護者の方からも相談と言うか愚痴を聞いた。 お姑さんを施設にやりたいのだが、ご主人やご主人の身内が反対すると。 お姑さんは認知症。脳こうそく。車いす。気性が荒い。うちの母とそっくり。私は実の母。 いらいらすれば、正直暴言を吐ける。しかし、ご主人の親となると、それもできない。 お風呂に入れるときも重労働で腱鞘炎になったと聞いた。お舅さんは他界しているが、今のご主人の年齢で亡くなられたので、息子なのに夫と勘違いして、浮気をした。愛する夫を奪ったとその保護者の方を殴るという。 身につまされた。 私も母から日傘で殴られ、父もハンマーを振り上げたこともしばしば。 結局施設に入れられた。 私も最終的にはそうした。生徒にも暴力をふるいそうになったから。 それまでの一連の経緯を私は殆ど誰にも相談せず、自分一人で決めた。実の...